「え、もう無いのか。じゃあ買って来てよ」

「ハーイ」

と顔を上げた広海君が、パッと横を見た。

「ねぇミライさん、一緒に買いに行かない?」

「うん♪」

ミライが微笑んでる!

「エエッ!」

待った待った!

ミライは、ただのミライじゃないんだぞっ。

二人で行ったら、何が起こるかわからないじゃないか!

「ちょっとぉ、何をそんなに驚いてるのよ先生ぇ」

眉をしかめて聞き返してくる広海君。

シマッタ、つい声が。

「あ、いや、何も二人で行かなくてもいいんじゃないかな、と」

「どうして?私だってミライさんの体は気づかってるわよ。大学から出るわけじゃないんだし、一緒に買い物行くぐらいイイじゃない。ねえミライさん」

ミライに同意を求める広海君。

ミライも頷いて僕の方をじっと見てる。

おいおいミライまで。

「ねぇ、いいでしょ先生」

首を突き出して迫ってくる広海君。

ミライもじっと傍に来た。

「…うーん、まあ、いいけど」

寄ってくる二人の圧力にはかなわないよ。

「良かった。じゃあ、行ってきま~す♪」

楽しそうに出て行く二人。

ついでに何を買おうか相談までして、ま~るでショッピング気分だよ。

(う~ん大丈夫か?)

どうも心配だな。

(何かあったら困るのは僕なんだよ)

よっぽど後について行こうかと思った。

(…所長がついて来た気持ち、わかりましたよ)

ミライの身に何か起こらないかヒヤヒヤしてくる。

とりあえず椅子に腰掛けてみたけど何も手につかない。

こんなに落ち着かない気持ちだったんですねぇ所長…。