翌、日曜日の朝。

アラームの音もなく目が覚める。

相変わらず僕はソファの上。

ロボットだってわかっても、やっぱり一緒には寝られない。

(壊したら大変だしな)

…ってのは言い訳だけど。

(大丈夫かな?)

引き戸を開けて寝室を覗き込む。

こっちに背中を向けて横になってるミライ。

腰がくびれて、スタイル抜群。

(…別れて寝て正解だよ)

自分に言い聞かせながらミライの肩を揺する。

「んん…」

だるそうに上半身をひねって起こすミライ。

ぼやけた瞳でぼ~っとして、動く気配がない。

(頭の中が起動中、なのかな?)

もしかしてワザと、低血圧の美女のお目覚めって雰囲気にしてあるとか?

(所長の好みで…)

だとしたら、演出が好きな所長だよ。

「…おはよう」

と振り返ってボトルを掴み、キャップを取って飛び出したストローを喉に突っ込んでメタノールを飲むミライ。

やがてスッキリした顔になったミライが、体を起こして僕の手首をギュッと掴んできた。

そういや、毎朝こんな事してるけど、

「何でこんな事するんだい?」

「血圧と脈拍を測る為です」

なるほど。僕の健康状態までチェックしてくれるのか。

「次は唾液のチェックです」

なるほど、それで。

「…」

柔らかな唇が僕の唇に重なる。

「今日も一日、元気で行きましょう♪」

ああ。今日も一日、元気で行こう。