「じゃあ、ミライをチェックしたいからさ、一緒にあっちに行こうか」

ニッコリと立ち上がった所長のあとについて、ガラスの間仕切壁の向こうの研究室へと入る。

横にミライがついて来てる。

ん~。

ちょっと、見る目が変わっちゃったな。

「じゃあミライ、ここに立って」

部屋の隅に行った所長が振り返って指差した場所に、立ち乗りのジェットコースターのようなスタンドがあった。

何に使うのか、上からガバッと前に下ろして体を固定する安全バーまで付いてる。

(何だこれ?)

と、ミライがこちら向きに台の上に立って背中をスタンドに当て、上から安全バーを下ろしてガチャッとロックを掛けた。

「よし」

所長が台の上へ上がって、真正面からミライの瞳を覗き込む。

「セーフモードで再起動」

「はい、セーフモードで再起動ですね」

「YES」

「…」

微笑みを浮かべたままじっと動かなくなるミライ。

何をしてるんだ?

「よ~し」

と、所長が横にあったパソコンからケーブルを引っ張り出して、ミライの耳にグイッと差し込んだ。

(痛っ!)

…って、ロボットだから大丈夫か。

「じゃ、ちょっと見てもらおうかな」

とカチャカチャッとパソコンのキーボードを叩く所長。

「パソコンの画面を見てみてよ」

見ると、画面にパソコンを覗き込む僕の横顔が映った。