「でも、難しいんじゃないですか?キカイの『感じるココロ』を作り出すなんて」

到底ムリなように思えますけど。

「ああまあね。その為には一体どうしたらいいのか。…正直なところ、今の段階では手がかりらしいものは何もないよ」

所長がまじまじと僕に視線をぶつけてきた。

「だけどきっと見つけ出せるさ。これから君との耐久試験の間に、何とか形にしたいって思ってるんだ。ウン」

大きく頷いて僕を見る所長。

ひょっとして、僕に何か期待してるって事ですか?

「僕に、人間行動学の立場から助言をと?」

そう言われても困りますけど。

「いやいや、違うよ」

「えっ?」

違うんですか?

「そうだよ。だって、いきなり君にそんなプログラムの設計を手伝ってくれなんて言ったって、出来ないだろう?」

そりゃまあ、

「そうですけど」

こんなハイテクの塊のロボットの事なんてまるでわかりません。

「そりゃね、何か手掛かりぐらい見つけてくれないかなって期待はしてるけどね。でもそれは、君がやるべき課題じゃないよ」

僕がやるべき課題じゃない?