研究所2階。

控え室の扉をバタンッと勢いよく開ける。

並んだ机の一番奥で一人、パッと頭を上げてこっちを向く所長。

首を伸ばして頭を傾げて、ん?って顔で手にした猫じゃらしを振ってるじゃないか。

マッタク。

「ん?」じゃないですよ!

何をノン気にミーちゃんとじゃれあってるんですかっ。

「所長、ミライはロボットなんですかっ!」

「そうだよ」

所長の第一声。

ちょっと待ってくださいよ。

なんでそんな大事な事をかる~く言えるんですかっ。

「どうしてそれを最初に言ってくれないんですか!」

お陰でこっちは心臓が止まる思いをしたじゃないですかっ。

「なんでって、聞かれなかったから」

「…」

いい加減にしないと怒りますよ。

「聞かれなくてもそっちから言うべきでしょ!」

「共同研究には支障がないんだから、言わないでおこうって事になってさ」

共同研究に支障がないって?!

「ちょっと待ってくださいよ!それじゃ、所長は僕に、このままロボットと一緒に共同研究をしろって言うんですか?」

「そうだよ」

本日二度目のかる~い御返事。

「ナニ言ってるんですか!」

ロボットと共同研究なんてオタクな話に、僕まで巻き込む気ですか!

「そんな事しなくたって、僕の研究データが欲しいならいくらでも分けてあげますよっ!」

「まあまあ、」

ニッと笑みをこぼして所長がじっと僕を見てる。

落ち着けと言わんばかりに。

「…」

一度肩で大きく息をして見つめ返す。

冷静になれ。

僕だって大人の分別ぐらいある。

と、所長がニッコリと微笑みかけてきた。