(ケ、ケータイ)

座り込んだまま震える手を扉にかけた。

(救急車、いや、先に所長に…)

その時だった。

「?…」

天井を見上げるミライの瞼が、ゆっくりと開いていくじゃないかっ!

「!」

な、なにがどうなってるんだっ!

(目が開いたっ!?)

と、頭がゴロンと転がってこっちを向いた!

(ヒィィーッ!)

呪いだ!

祟りだ!

悪霊退散ーっ!!!

「…おはよう」

と、寝ぼけ眼の気だるい声が!

(な、な、な?!)

状況が理解できない。

「どうしたの?…」

と、だるそうに上半身をひねって起こすミライ。

(どうしたのって、そんなのあり?!)

僕の心臓が止まりそうだって。

「…ミ、ミライ、今、息してなかったよ?」

やっとの事で声を絞り出す。

と、ぼんやりしたままコクリと頷くミライ。

「うん」

うんって?!

何を寝ぼけたコト言ってるんだよ!

「そんなコト人間じゃあり得ない…」

ん?

「うん」

ミライが悟ったように微笑んでる。

「あっ!」

僕の頭の中に、研究所で見たロボットの姿が浮かんできた。

「ま、ま、ま、」

まさかそんな事があるのか!?

「一緒に研究所に行く?所長が待ってるから、直接聞いてみる?」

ベッドの上でしな垂れたまま小首を傾げるミライ。

「ああ、行くよ!」

こうなったら直接、所長から真相を聞かないと気が済むもんかっ。

僕は慌てて身支度を整えて、ミライと一緒に研究所へとタクシーを飛ばした。