「ふう~ん…。先生が若い女性と一緒にいるなんて初めて見たから、てっきり先生の彼女かと思っちゃったぁ~」

ってナニをニヤけた笑みしてるんだよっ。

「ねぇねぇどうなのよセンセッ♪」

肘で胸をドンと突いて来るし。

からかい半分、か?

「おいおい、ヘンな詮索しないで、まずは挨拶、ほら」

ここは話題を変えるのが一番。

下手に言い訳するとかえってツッ込まれるしな。

と、彼女がクルッとミライに向き直った。

「こんにちは。わたし北口広海。広い海って書いてヒロミ。ここの院生なの。よろしく」

「ミライです。栗栖ミライ。こちらこそよろしく…」

会釈を交わした二人の間に流れる沈黙。

「…」

お~い何か話せよ二人とも!

広海君がまた僕とミライを黙って交互に見始めてるし。

「ねぇ先生、なんか動揺してない?」

ドキッ…。

「してないしてない。誤解するなよ、別に彼女は僕の彼女じゃないからな」

ん、あれっ、広海君なんだい?その下から見上げる微笑みはっ。

「ふ~ん、そうなんだ。じゃあこれからそうなるのを狙ってるんだ!そうでしょセンセ!」

オイオイ、「いいツッコミ相手見っけ♪」みたいな輝いた目をするなよ!

(勘弁しろよぉ)

こんな調子じゃこれから先、君の相手をしづらくってしょうがないって。

(ウ~ンッと、)

といって、こういう時のボキャブラリーを持ち合わせてないんだよな~。

「…」

と突然、静けさを打ち破るように、入口の扉がガチャッと開いた。

「お邪魔するぞ大沢君」

まさかの教授が現れたっ!!

(ウソだっ)

今来られてもレベルが全然足りないよぉ。