二月に入ったある日の朝。

教授室に入ると、教授がスッと立ち上がって前に出てきた。

「広海君の卒業が無事に決まったぞ」

ニッと笑みをこぼしてる。

「ホントですか」

って事は、三月で彼女も卒業、四月からは正式に研究所の研究員になるワケか。

「そうですか、無事に卒業ですか」

嬉しいような、悲しいような…。

「どうした、卒業してしまうのは残念か？ん？」

教授がニヤけた笑みを見せてくる。

「そんなことは、」

…あるかもしれませんね。

「隠す事はないだろう。私の目に狂いは無かった。君たち二人はピッタリだと初めから思っていたよ」

肩をポンと叩いてくる教授。

「初めからそう思ってたんですか？」

だとしたらスゴイ人だ。

「僕ら全然性格が違うし、合うワケないって僕は思ってましたけど」

何でまたピッタリだなんて？

「確かにな。君たち二人は正反対だ」

と教授が指を立てる。

「だが、凸どうし凹どうしの二人よりも、凸凹どうしの二人の方がピッタリと重なる事がある。そうだろ？」

微笑む教授。

「…確かに、そうですね」

凸と凹の二人だから、ピッタリと噛み合って離れない。

（うん、離れない）

いや、離れたくないよ、広海君。