翌朝。遠いアラームの音で目が覚める。

「ん…」

いつもと見える光景が違う。

(そうか…)

パッと身体を起こした。

ソファーから立ち上がって、ピピピピピと電子音のアラームが鳴ってる寝室の引き戸を開けた。

『ピッ…。』

同時にアラームが止まった。

(おおっ)

ミライが片手だけをベッドから伸ばしてる。

色っぽい。

垂れた髪で俯いた顔が隠れて、いかにも気だるそうだし。

ん~、寝不足がパッと吹き飛んじゃうね。

「おはよう、ミライ」

「おはよう…」

だるそうに上半身をひねって起こすミライ。

ぼんやりと前を見つめたままじっと動かない。

瞳もどこを見ているのか焦点が合ってない。

(低血圧、なのかな…)

美女のお目覚めって雰囲気が似合ってる。

(これからは毎朝の出来事になるのか)

ちょっと嬉しいかも♪

「んん…」

と、ミライが枕元に置いていたボトルを手に取ってキャップを外し、飛び出たストローを口にした。

「ゆっくりしていいよ」

しばらく眺めていたいからね。

「うん…」

やがて栄養剤が効いたのか、スッキリした顔になったミライが、髪を掻き上げながら僕を見上げてきた。

口元にステキな笑みを浮かべてる。

(愛らしいな)

と、ミライがスッと僕の手首を掴んで、ギュッと強く握り締めてきた。

「ん?なに?」

やけに手に力が入ってるけど?