(フゥ~ッ)

思わず溜息。

と、ミライが僕の隣に、上半身をこっちに捻って横向きにソファに腰掛けてきた。

今にも泣き出しそうな顔で。

「ミライ、どうかしたのかい?」

そんな顔をするなんて。

「う、うん」

と、ミライが僕の顔をまじまじと見つめてきた。

「心配なの。ずっと悲しそうな顔してるから…」

「えっ、そう?」

そんな顔してたのかな。

「うん。ずっと眉しかめてる」

そうか。

「眉か…。わかっちゃうんだな」

と、ミライが身体ごと向き直ってきた。

「ねえどうして?何をそんなに考え込んでるの?」

小首を傾げて聞いてくる。

ふと、宙を見上げて答えた。

「うん、あの事故が無かったら、こんなに寂しくならずに済んだのに、ってね」

「こんなに寂しくならずに?」

眉をひそめるミライ。

「うんそう。あの事故のせいで、今こんな事になってるんだ。クワンの意識が戻らなくなったのも、ロイが動かなくなったのも、」

ふと、本田君のセリフが頭に浮かんだ。

「本田君が言ってたよね、ロイはクワンを追いかけて行ったのかもって」

そうなんだよ。

「ロイにそこまで思わせたのはクワンの心だし、そこまでクワンの心を熱くしたのは、他でもないロイのココロなんだよ」

感じるココロが、全ての引き金なんだ。

「僕は良かったのかな…」

そこなんだよ。

「あの時、所長に感じるココロのヒントを気付かせて、僕はホントに、」

と、突然ミライが声を張り上げてきた。