(何だ?!)

パッと声の方を見ると、胴衣を羽織って人波に立ちはだかっている女性が!

「あっ」

隣の実験室の平山さんじゃないか!

「それ以上近づくなら、私たち合気道部が容赦しないわよ!」

ブラボ~ッ平山さんっ!

平山さん率いる合気道部の部員たちが、両腕を広げて人だかりを押し留めてくれてる。

(オオ~)

なんて頼もしい姿だろう。

と、一人の男が掻い潜って飛び出して来た!

「!」

次の瞬間、彼は手首を掴まれクルッと返され、その場に痛そうに転がり返った。

まさに瞬殺!

「おおーっ…」

どよめきが広がり人の波が静まり返る。

「いや~、無理言ってワルイね平山くん」

「いーえ、これぐらいお安い御用ですよ、所長」

平山さんが所長に微笑んで返してる。

(まさか、)

この二人、知り合いだったのか!

(身近な協力者って、平山さんだったんですか!)

全く予想外でしたよ。

「さあ、行きましょう先生」

と、平山さんが声を掛けてきて導いてくれた。

頼りになります平山さん。

「すみません、いつも迷惑かけてばかりで」

ホント申し訳ないデス。

「いいのよ気にしないで。この前のお詫びのつもりだから」

ニコッと笑みを返してくれる平山さん。

(ありがたいですよ)

お隣さんのよしみとはいえ、ここまでしてくれる人はそうはいない。

部員たちのガードのお陰で、僕とミライは無事に実験室へと辿り着く事が出来た。

持つべきものは友だなぁ。