「おー、キレイだ!」

僕の声に、ミライがグッと可愛らしく微笑み返してくれてる。

大きく開いた胸元を飾るダイヤモンドがキラキラと目に眩しいよ。

化粧も決まって魅力倍増だね。

「ほ~ら、こんなに綺麗なんだ。胸張ってお披露目したいって気持ちもわかってくれるだろう?」

ニッコニコの所長。

「え、ええ、まあ」

気持ちはわからないではないですよ。

「…はぁ~、これでクワンとロイのふたりが上手くいってたらさ~、もっとちゃんと胸張って発表出来ただろうになぁ~…」

確かに、そうですね。

こんなにゴタゴタする事もなかったし。

「元気だして」

所長に優しく声を掛けるミライ。

「おぉ~、ミライありがとう~。ミライの笑顔がなにより励みになるよ。頑張るよ、ミライの輝く笑顔を曇らせないように!」

両手を広げて元気に振舞ってみせる所長。

(笑顔を曇らせないように…)

そういえば。

昨日ミライが「ここに残らないといけないのね」って、寂しげな顔をみせてたんだよな。

(あんな顔は見たくないよ)

ミライを寂しくさせない為にも、そして、僕が実験室で寂しさを感じなくて済む為にも、一緒に出掛けられるのが何よりなんだけど…。

「所長、何とか会見を考え直してもらえませんか?」

切り出すと、所長が首を傾げてきた。

「なぜ?」

「なぜって、所長だってわかってるでしょう、テレビで会見なんてしたらどうなるかぐらい!きっと出掛けるどころの騒ぎじゃ無くなりますよ!」

「うんまあ、そうなるだろうね」

だからこそ、大きな悩みがあるんじゃないですか。