「ねぇねぇ先生、テレビが来るんでしょ!明日は楽しい事になりそうね♪」

と横から、広海君がニッと笑みを浮かべて話し掛けてくるじゃないか。

「楽しくなんかないって」

こんな時に話しかけてくるなよ~。

矢面に立たされる僕の身にもなってくれって。

「私は大学のゼミに出るからいないけど、頑張ってね先生!」

ええっ!

自分は逃げるのかっ!

(卑怯者っ!)

久しぶりに憎らしい笑顔なんかしてっ。

「ねぇ、先生はイヤなの?」

と、ミライが横から覗き込むように聞いてきた。

「そりゃイヤだよ。テレビでお披露目なんてしたら、ミライや僕を取り囲む人が増えるに決まってる。大学で囲まれそうになった騒ぎが街中に広まる事になるんだ。そうなったら当分、大学どころかどこにも一緒には出掛けられないよ」

ミライとの一部始終を見られたって恥ずかしさもあるし…。

騒ぎが収まるまではムリだって。