「気付いたって、何を?」

「セーフモードに出来ないから繋げないんだって」

あっ、そうか。

「その時はもう、クワンは病院で意識不明


だからロイには繋げない。

「そう。で、ロイをここへ連れて帰ってきたんだ。ホントは押収されてもおかしくなかったんだけど、局長が警察に『もし壊したら君らの生涯賃金じゃ返せない額を請求するぞ』って脅しをかけて、」

おおっ、あの局長ならやりそうだな。

「向こうも、あまりにハイレベルで手が出せないから、ボクらの手に任せるってね」

所長が肩を竦めてる。

なるほど。

最先端の技術だ、そう簡単に手は出せないだろう。

「…さてさて、どうしたもんかな」

顎に手を当てながらロイの元へ歩いて行く所長。

と横から本田君が寄って来た。

「まず管理者がクワンである以上、クワンが快復しない限り言う事は聞いてくれませんよ。無理にアクセスしようとすればデータが消去されます。プロテクトは『万全』です」

本田君が変に胸を張ってる。

そこまで言うんだから、そうなんだろう。

という事は。

管理者の言う事しか聞かないんだったら、

「所長、管理者をクワン以外に変えたらどうなんですか?」

管理者を変えればあとは何とか手を打てるんじゃ?

「出来ないよ」

所長が首を振って返してくる。

「どうしてですか?」