定時を過ぎた。

日が暮れて窓の外が暗くなっても、所長にも広海君にも連絡がつかないまま。

(どうしたらいいんだよ…)

携帯を握り締めて、どれだけの時間画面を見つめていたかわからないよ。

「心配そうね、大丈夫?」

僕の肩に手を掛けてくるミライ。

そうか。

ミライに気を遣わせるほど、僕は落ち込んでたんだな。

「大丈夫だよ」

気を張っておかないとな。

「フフフ」

ウン、可愛らしい笑顔。

それだけで心が癒されるよ。

「広海さんの部屋に行ってみる?」

小首を傾げて微笑み返してくるミライ。

「…そうだね」

会えるかどうかわからないけど、

「こうなったら、許してくれるまで謝り続けるしかないかな」

今出来るのはそれだけだ。

と、内線電話の呼び出し音が突然鳴った。