後からついてきたミライと一緒に、控え室の扉をバタンと開けた。

「あ、先生、ミライさん」

向かい合って並んだ机の左右にルミちゃんとヨッシーが立っている。

が、肝心の広海君の姿が無い。

「あれ?広海君は?」

一体どこへ?

「遅いよ先生。たった今出て行ったわよ」

ええっ!?

「出て行った?どこへ?」

戻って来て、もう?

「知らな~い。カバンを取りに来ただけみたいだったよ」

カバンを取りに来ただけって…。

「じゃあ、まだ怒ってるのか」

「仕方ないわよね」

そりゃそうだな。

あれだけの啖呵を切って出て行ったんだもんな。

と、ルミちゃんが眉をグッとしかめた。

「なんか、ここ辞めるみたいな話、教授としてたけど」

ええっ!

「なんだってぇ?!」

慌てて振り返って、教授室の中へ飛び込む。

「ホントですか教授、広海君が辞めるって!」

と、横を向いて腰掛けていた教授がクルッと椅子ごと振り向いて顎を上げてきた。

「さあな。もう君の実験は手伝わない、みたいな事を言って、私が聞き返す間もなく出て行ったよ」

教授がジッと見つめてくる。

「そんな、」

そんなバカな!

急いで携帯を取り出して呼び出してみた。

が、繋がらない。

「何してるんだよ…」

何度掛け直しても出てくれない。

と、教授が立ち上がって首を振ってきた。