「ぼくたちはいいですよ」

「ちょうど見たい映画があるの。奢ってくれるって事らしいのよ。ね?」

クワンが本田君の肩に手を掛けて横目で寄り添った。

ちょっと強引にねだってる?

「ええっ?!…まったくもう、しょうがないなぁ」

頭を掻く本田君。

だけど、表情は満更でもなさそう。

「やったぁ」

テヘヘッと笑って本田君の手を取るクワン。

(ムムム、デキるな)

彼女はなかなかヤリ手かも。

「じゃあ、二人で楽しんでおいでよ」

「はあい」

と楽しそうに手を振って、歩いて来た通路を戻っていく二人。

見送るミライも二人を写したように楽しげな様子で手を振ってる。

「じゃ、帰ろうか。研究所に戻ってから、君の部屋まで送っていくよ」

「え、僕の部屋までですか?」

「そう。教授への報告は明日でいいんだろ?もう夜になるしね」

確かに、教授はそう言ってたっけ。

「え、ええ」

頷いて所長について歩く。

後ろから笑顔でついて来るミライ。

そうだよ。

(ミライが、僕の部屋へ来るんだ)

さあ、これからだ。

これから、ミライと一緒に過ごしていく事になるんだ。