食べ終えて戻って来ると、ちょうどお昼休みの時間だった。

研究室に入ると、本田君が一人、スタンドの傍のパソコンデスクに腰掛けて黙々とキーボードを叩いていた。

「所長ぉ、何とかしてくれませんか、アレ」

眉をひそめて機器類の列の向こうを指差す本田君。

見ると、壁際の机の前で、椅子に腰掛けたロイの膝の上に横向きにクワンが座って、互いの肩に手を廻してラブラブにおしゃべりをしている。

「しょうがないよ、愛情にアツくなるように作ったんだからね」

「にしても度が過ぎてませんか。あれじゃ仕事がはかどるワケないです」

確かに二人は何をする訳でもなく、イチャイチャとおしゃべりをするばかり。

挙句に熱~いキスまでしてるじゃないか。

「マッタク、見てられないですよ」

目を背けるようにバッと机に向き直る本田君。

「しょうがないよ、クワンが管理者なんだから。それとも何かい、君を管理者にしてロイに惚れられるかい?」

「そんなのゴメンです」

溜息交じりに答える本田君。

諦めたようにまたキーボードを叩き始めてる。

邪魔しない方が良さそうな雰囲気。

「…控え室に行くかい?」

ええ、そうですね。

所長に導かれて控え室へと場所を移す。

もてなしは相変わらずのインスタントコーヒー。

(ま、贅沢言わずに)

しばらく時間を潰して、大学へと戻る事にしようかな。