「ねぇ、裏で浮気してるんじゃないの」

広海君が詰問してきた。

なんだ、そっちを疑ってたのか。

「そんな事しないよ」

それは心から言える。

(ん、)

何だよ、そんなに僕をじっと見つめて、何考えてるんだよ。

「そう」

プイッと机に向き直って肘をつく広海君。

顔を隠すように手を額に当てて首を振ってる。

「今日は私、自分の部屋に帰るから」

「あ、ああ、わかった」

何を考えてるかわからないけど、

近寄らないでってオーラはまだ消えてない。

「…じゃあ、先に帰るから、あんまり遅くならないようにね」

優しく言葉を掛けて、そっと扉を開けて、静かに自分のマンションへと足を向ける。

触らぬ神に祟りなし、って言うしな。