今まで散々、わがままに付き合わされ振り回わされてきたけれど、

「けど、」

そんなの全てが彼女の甘えの表現なんだ。

僕に構ってもらいたくて甘えて来てる。

そう、今だって。

僕をジーッと見つめる瞳を見つめ返す内に、グッと気持ちが高まってくる。

「広海君」

バッと彼女を抱き寄せた。

襟元に添えていた彼女の手がクッと挟まれるぐらい、力強く。

「好きだよ」

言っちゃった!

と、広海君が挟まれた手を引き抜いて背中に廻してきた。

「も一回言って?」

って嬉しそうに微笑んでるよ。

「…好きだよ」

言い終えた途端、肩を竦めて微笑みかけてくる。

「も一回」

フフッ、照れくさいけど、悪い気はしない。

「好きだよ、広海」

ちょっとワザとらしく呼び捨て。

「…」

一瞬じっと固まった彼女が、ニ~ッと口元を緩めた。

「今すぐしよっ♪」

えっ?

「結婚?」

だからさ。

話をちゃんと聞いてくれよ。

と、広海君がゆっくり首を振りながら、体をピッタリくっ付けるように抱き付いてきた。

「ちがう…」

後ろに廻した手で背中を撫でてくる。

「ねぇ、今すぐしよっ…」

フフッ、なんて正直なヤツなんだろう。

「先に、一緒におフロ入ろうか」

「うん!」

バタバタと準備をする広海君の顔に笑顔が浮かぶ。

二人で一緒に入る、楽しいバスタイムの始まりだ!