所長を先頭に僕らは、本館一階にある事務局へと直行した。

「遅くなりました」

所長が声を上げ頭を下げて中へ進み、本田君、クワン、ミライが後に続き、最後に僕も中へ入った。

(うわっ…)

黒革の立派な応接ソファが置かれた絨毯敷きの室内。

足を踏み入れた瞬間からもう、漂う空気が違うのがわかる。

(イヤだなあこの感じ…)

ピリピリとした緊張感の中、応接ソファにどっかりと腰を下ろす局長。

「マッタク。君たちは物事には順番があるという事がわからんのか」

放り投げるようにテーブルに契約書類を置く局長。

「そこに座りたまえ」

言われるまま正面に腰を下ろし、ブツブツと小言をもらいながら、内容もそぞろに契約書を交わして、終わるとそそくさと部屋から出た。

まるで職員室で先生から大目玉を食らったような気分。

無事に開放されて良かったよ。

「ふぅ~」

一つ大きく息を吐く所長。隣りで本田君も溜息をついてる。

そりゃ溜息もつきたくなるよな。