「センセー、私待ちぼうけじゃない、どうしてもっと早く、…」

と、怒りかけた広海君の口がピタッと止まった。

「ミライさんっ!」

驚いたように声を上げてる。

「帰って来たのね!久しぶりー。元気にしてた?」

「うん」

笑顔でミライが頷くと、広海君が息を整えながらこっちに寄って来た。

「ふ~ん、そうだったんだ~。良かったじゃなぁーいセンセー、ミライさん元気そうでー」

声を上げながら肩を叩いてきた。

バチーンッと音が響くほど力を込めて。

(チカラ加減を知らないのか?)

それとも待たされた怒りを込めたのか?

と横からミライがフフッと笑みをこぼしてきた。

「なんだか広海さん嬉しそうね。前よりも元気が溢れてるみたい」

ミライがニッコリ微笑んで自分から広海君に歩み寄って行く。

こんな事は初めてじゃないか?

「そう?ミライさんだって前より元気そうよ。それに笑顔がますます輝いてる~」

両手を胸の前で合わせて微笑み返す広海君。

ミライがその手を両手で包み込むように握り返してる。

「ありがとう。少しスリムになった?お肌のツヤも良いみたい」

「ホント?うれし~」

お互い手を取って微笑み合ってる。

と、二人がそのままこっちを振り向いた。

「これから、もっと楽しくなりそうね~」

二人の声が揃ってるよ。

(なんだか、)

ミライは純粋に嬉しくて微笑んでるようだけど、

広海君の笑みは、何か負けじと張り合ってる笑顔にも見えてくる。

面倒な事になりそうだナ。

(広海君が暴走しなきゃいいけど)

…しちゃいそうだな。