「ねぇ、ひょっとしてミライさんの具合がかなり悪いの?それぐらいの落ち込み様だけど、先生」

伏せ目がちに聞いてくる広海君。

ハッと我に返った。

「え、そうか?いや、全然そんな事ないんだよ。ちょっと疲れただけ疲れただけ」

両手で顔をパンッと叩いて笑顔を作ってみせる。

(しばらくミライがいないってだけじゃないか)

広海君に気をつかわせる程落ち込んでどうする。

「ホントに大丈夫なのね?」

チラリと横目で見てくる広海君。

「ああ、大丈夫だって。ほら、心配する事ないよ。僕の事もさ」

少々気を張って答えてみた。

「そうね、ちゃんと先生のやることやってくれるなら私はそれでいいけど。20人分の実験やらされたんだから、データ整理ぐらい率先してやってくれるんでしょうね、センセー」

って、どこか引きつった笑顔の広海君。

やっぱり怒ってるぅ?

「もちろんやるよ」

広海君の顔色を窺いながらの二人の実験室。

妙な緊張感があるなぁ。