そりゃあ疑う気持ちもわかるけどさ。

「ホントに何もないよ」

君が思っているようなコトはね。

「本当ぉ?」

広海君が腕をギュッと掴んで、下から鋭く見上げてくる。

まるで浮気をとがめられてるみたいだナ。

「本当だよ、何もないって」

それは強く言える。

「ふ~んそう。どうやらウソじゃないみたいね」

小刻みに頷きながら顎を引いていく広海君。

納得してくれたかな。

「でも、向こうはアメリカ育ちなんだから、挨拶代わりのキスぐらいはするんでしょ?」

あ~、確かに、健康診断で毎朝キスはしてたっけ。

「ああまあね」

と、広海君が僕の腕をギュッとつねってきた。

「やっぱりするんじゃない」

シマッタ!

誘導尋問だったか!

「いやいや、挨拶代わりだってホントに」

マッタク、上手いトコ引っ掛けてくるナ。

「ふ~ん。まあいいわ。センセーってそれ以上のコト出来そうにないから」

…それは喜んでいい言葉なのか?