「えっ?もう感じるココロが完成したんですか?!」

「いやいや、完成と言うにはまだまだだけど…」

と急に声の勢いを無くす所長。

何だ、せっかく期待したのに…。

「詳しい事は後で話すから、とにかく、今すぐミライを連れて来て欲しいんだよ」

また急かした声になる所長。

「そんな、今すぐって言われても、こっちも今実験始めたばっかりなんですよ」

それもモニターが20名の大所帯だし。

実験自体は広海君に任せられない事も無いけど、後に溜まったデータの処理が大変。

(なにせ20人分だしな)

広海君がどんな顔を見せるかと思うと…。

「何とか都合をつけて来てくれないか。お願いだ」

いつになく所長の調子が強い。

これはタダ事ではなさそうだ。

う~ん。どっちを取るかと言われたら。

「…わかりました。なんとか行きますよ」

こう言うしかないでしょ。

「宜しく頼むよ。今すぐだよ。じゃあ待ってるから」

と、一方的に電話が切れた。

(何なんだ?)

所長からこんな風に呼び出されるなんて初めてだ。