「だけど、新しい感情が生まれるかもしれない、その可能性があるのは間違いないよ。感じる『ココロ』を、ロボットっていう『モノ』が手に出来ればね」

微笑みかけてくる所長。

「ココロを、『モノ』が手に出来れば…」

改めて考えると、やっぱりそれは難しい事のように思えてくるんですけど。

「本当に、モノがココロを手に出来るんですか?」

ズバリどうなんですか。

「それはハッキリしてるよ。モノがココロを持てるって事は、ボクは疑ってないからね」

えーっ!?

「所長、どうしてそこまでハッキリ言えるんですか?ロボットっていう『モノ』がココロを持てるって」

何を根拠に?

と、所長がブンブンと首を振ってきた。

「いやいや、違う次元の話だよ。ロボットに限らず、この世の中に存在する『モノ』がココロを持てるのは明らかだって言ってるんだよ」

え?

そこまで話がいくと違う気がするんですけど。

「どうしてですか?『モノ』がココロを持てるって、どうして言い切れるんですか?」

一体どう考えたら、そんな自信が持てるんですか。

と、所長がグラスを手にしたまま向き直ってきた。