この数ヶ月で、ミライはかなり『女の子らしさ』が身に付いてきた。

広海君やルミちゃんたちを見てマネしているところもあるだろうけど、

何より実験にモニターとして参加してくれたたくさんの学生たちの姿を観察できた事が大きいハズだ。

(飲み込みが早いよな)

場面に応じた表情やしぐさやセリフ回し。

そういった事を、実際に目で見て耳で聞いて自分の身に付けるのに、僕の実験室以上の環境はないかもしれない。

(…そこまで考えてたのか、あの所長は)

初めて会った時と比べれば、ミライは格段に可愛らしくなっている。

見かけに限らず、しぐさや言葉使いだって。

(所長にしてみれば、してやったりってトコロか)

背もたれに体を預けながら、まだ少し暑そうに手で扇いでいるミライに目をやった。

見つめるミライの額にじんわりと汗が滲んでいる。

(体温を下げる為の汗か)

そりゃロボットだって暑いよ。

(…んっ、そういえば、暑いからって自分から服は脱がなかったよな?)

僕に言われて初めて、ミライは服を脱いだ。

自分じゃそういう判断が出来ないのか?