その時だった。
「……待て」
「何でしょう…?」
陛下に呼び止められ、動く足がその場で止まる。
振り返ると鋭い眼光が私をとらえていた。
サラサラとした紺色の髪に獲物を捕まえるかのような鋭い目つき。
顔はシュッと細く、身長も見上げるほど高い。
こうしてみると、確かにアイルさんや皆の言うとおり陛下はカッコよく、惚れるなと言う方が難しい話。
正直私も不覚にも『カッコイイ…』なんて思ってしまった。
そんなことより、陛下はなぜ私を呼び止めたのだろうか?
何かやらかしてしまったのだろうか?
私は恐る恐る陛下の方をもう一度見つめた。



