暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】




その時だった。


「……待て」


「何でしょう…?」


陛下に呼び止められ、動く足がその場で止まる。


振り返ると鋭い眼光が私をとらえていた。



サラサラとした紺色の髪に獲物を捕まえるかのような鋭い目つき。


顔はシュッと細く、身長も見上げるほど高い。


こうしてみると、確かにアイルさんや皆の言うとおり陛下はカッコよく、惚れるなと言う方が難しい話。


正直私も不覚にも『カッコイイ…』なんて思ってしまった。


そんなことより、陛下はなぜ私を呼び止めたのだろうか?


何かやらかしてしまったのだろうか?


私は恐る恐る陛下の方をもう一度見つめた。