もちろんそのコーヒーは、
「まだ帰ってきていないのか」
いつも執務室へ運ばれてくるあのコーヒーではなかった。
「アレから長期間の休暇届が出されておりました。いつ帰ってくるかは………今の時点では分かりかねます」
流石のファンも困った表情。
あの味のコーヒーを入れられるのはあのメイドしかいないからだ。
それに、あのコーヒーの味を知っているのも陛下しかいない。
「まぁ、よい。それより図書館へ向かう。準備せよ」
陛下は飲み終えたコーヒーカップをソーサーへ戻すと、マントを翻して図書館へと向かった。
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