「それに招き入れた客人をもてなすのも、陛下のお役目でございます。ぜひパーティーはあの方とご出席下さいますようお願い申し上げます」
これで堅物で暴君なリードを変えることができたなら……と、幼馴染ながらにファンは思い、そんなお願いを陛下に申し出た。
「……………まぁ、他の女に比べてはマシか。他国と交流しつつ、奴らの腹の底を探るのは別に悪くない。それにこの宮殿に詳しくない者であれば、うっかり口を滑らせて大事になることもないだろう」
「では、ご出席と言うことで伝えておきます。………っと、ちなみにアニ様は現在図書館に居られるそうですが……………まぁ私の独り言でございます」
わざとらしいファンの口ぶりは、まるで陛下をそこへ誘導するかのようであった。
書類が山積みになった机から、コーヒーの置かれたいつもの机へと移動すると、
置かれたコーヒーを一口、口に含む。



