暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】





「………………あの方を誘ってみてはいかがですか?」



ファンが面白そうに少しニヤリと笑う。


「アイツの事か?」


「えぇ。陛下があのようにお助けになるのには何かしら訳があるのでしょう?」


「訳などない。……ただ『何となく』助けただけだ」


陛下は『何となく』というが、ファンにはその何となくが何となくとは思えなかった。


今まで見てきたのでは、あの場合陛下はその客人を見捨てる。それか、取りあえず城を荒らす奴を処理し、そんな混乱を招いた方も処罰に問わせていた。


…………今回はなにも処罰がなかった。