暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】








一方、執務室では。


「失礼致します。コーヒーをお持ち致しました」


「そこへ」


「はい」


剣の訓練を終わらせた陛下の為に、執務室へコーヒーが運ばれてきた。


その場に居合わせていたファン宰相はいつものお茶飲みの机を指示し、


再び陛下との話へ戻る。



「20日にヴィスタン国にてパーティーの招待状が届いております。我が国だけでなく、他国も招いているとの事でより良い外交の場になると私はふんでおります」


「ヴィスタン国…………か。あそこは一度行ったことがあるが大して面白い場所ではなかった。パーティーと言えど、皆国の汚点探るのに必死さ」


「そう言わずに是非行かれることを、このファンは強く願っております。もう長いこと他国のパーティーに出席されてないではないですか!」


最後に他国で開かれるパーティーに出席したのは、まだ陛下になる前で、アレから数年が経過している。


その時、今はこの国にいない姉と一緒に参加したが、今回仮に参加するとなると、エスコートをする相手を探さないといけない。


もちろん繋がりのある貴族の娘などをエスコートする気にもなれず、


いつものように断ろうと陛下は心の中で思っていた。



…………………が。