暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】




『そっちの方がいい』なんて言ったら、反感を買いそうだから、陛下には言わないけど、


フワリと笑う陛下の方が私は好き。

「どうした?」


「いえ。何でもございません」


『エスパー』な陛下を前にするとそんな事を読み取られてしまいそうで、思わず横に目をそらす。



向いた先には陛下の指示で動く兵士の姿があり、



遺体を見ると先程の恐怖を思い出してしまう。


安全であろう宮殿の中で、まさかあんな事が起ころうとは…………。


この中ならそんな事は起こらないと思い宮殿にいるが、今回身を持って体験した。


ここにいる事は安全ではなく、安全である確率が高まるだけだということを。




しかし、少しでも安全である以上使用人を辞めることはないが。


……………そう言えば、使用人である私はどうなったのだろう。


3日間休みを貰うという条件で外へ出ているのに、中々戻らないとならば、何かしら問題が起きそうだ。


最悪、無断欠勤で辞職されるかも。良くて、部署移動…………。