暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】







(…………………それにしても、私は何でいつもこんな目にあうのだろう)


本当は普通に生きたかった。学校に行って親友と呼べるような友達をつくって、一緒に遊ぶ。


家族ともずっと一緒にいたい。


私の髪が黒色じゃなかったら。こんな容姿じゃなかったら。


私は………………………………………。



今まで押し殺していた気持ちが一気にこみ上げた。


だけど、それは再び心の奥底に押し殺された。



(弱気になってはダメだ)


______ドンッ!!



油断したうちに掴まれた手首を振りほどくと、思いっきり商人を突き飛ばしてみせた。



「………この女が………っ!!!」


男はその衝撃で地面にしりもちを着いた。声には怒りが含まれているのが聞いてわかった。