暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】



そう言えば、宮殿の中に静けさを取り戻したと思ったら、あの商人が今陛下と会われてるのか。


他国の商人を宮殿へ招き入れるとなると、恐らく会場は客室か談話室、もしくか会議室………………。


商人なので泊まりはたぶんしないだろう。


唯一気をつけることは、帰り際にばったり会わないようにしないとね。


会ってしまうと余計に面倒くさいことが起きそうだし。



「アニ様。このブーケはどちらに飾りましょう?」

「じゃあ、あの机の上にお願い」


「かしこまりました」


買ってきたばかりのブーケを早速部屋の中に飾ってもらう。


指示するのは苦手だが、この私付きの使用人相手だと、だいぶ慣れたような気がする。


「アニ様の為に特性のブレンドティーを用意致しましたので、煎れて参ります」

関係も順調…………。


急に陛下が連れてきた女ということもあって、良く思わない使用人はとても多いが、この使用人達は私を嫌な目で見ない。

だから、私も不思議と心を開きはじめたのかもしれない。