「そなたに怪我はないのか…?」

「はい。どこも悪くございませんがゆえ安心してくださいませ」


サニーと陛下の付き添いの側近兵士ぐらいしか、この場にいないというのに、


まるで演技のようなセリフ。


まさか陛下から心配して貰えるなんて思っていなかったから、少し戸惑っちゃう。


………そういえばあの兵士はどうなったのだろうか。


やはり死刑になってしまうのだろうか。


「………陛下」

「どうした?」
 
これも全て私がここへ来たばかりに、悲劇を生んでしまった。


「どうかあの兵士には酷い罰を与えないでください……」


「そなたはそなた自身の命をも狙い、部下を瀕死の状態にされても尚、あの者を許すというのか?」


「いえ、そうではありません。リリアンを切ったあの者は正直とても憎いです。……………ですが、これも全て私のせいなのかもしれません」


メイドの分際で終われば良かったものの、嘘をつき続け本当の事も陛下に言えぬまま、妃になった。


この地位にいれば殺される事はまず考えにくいとまで、思った。


だけど実際にはどこぞの者が分からない私に反対した者が、こうして剣を取り、大切なものを傷つけることとなった。


仮に力を表で出さなくとも、


宮殿の悲劇とはこうして女により引き起こされるのだと感じた。


だから兵士以上に私を許さないでほしい。



この自体の原因となった私を、


兵士以上に…………………。



「与えるなら私に罰を…………………」


続きを言いかけて、私は長い眠りに落ちた。