あんなに瀕死だったのに傷一つなく安心して眠るリリアンの姿にサニーは驚愕しつつ、戸惑ったような表情で「これは………」と私に聞いてきたが、
「……この事はどうか内緒でお願い」
とお願いすると困ったような笑顔であったが、何とか聞き入れてくれ、
『神のご加護により、リリアンの傷は癒やされた』
私達はただその不思議な力を目の当たりにしたのだということにして貰った。
「お妃様……ドレスに血が付着しております。どうかお着替えくださいませ」
「…………そうね。せっかく良いドレスを着させて頂いていたのに、汚してしまったわ。今行く…………………………」
私が最後の言葉を言いかけたときフッと体の力が抜け、バランスを崩した体がよろめく。
_____バフッ……。
そのまま前へ倒れかけた私を腕で支えたのは、なんと陛下だった。
「大丈夫か……っ!」
「陛下……」
前髪と息が少し乱れている。
急いでここへ来たのだろうか。
「この血は何だ………!?」
「それはリリアンのもので、私のではございません。リリアンが身をていして守ってくれたのです…」
なぜあのような行動をしたのかは、よく分かっていないけど、
一つだけ言えることは、リリアンが私をあれ程まで慕い、守ってくれたということ。
それに変わるような、私に出来ることは既にした。
傷は治った。
後は目が覚めるだけ。



