そんな中私は、思いもよらない出来事にただ夢かのように呆然としていた。
だって、
「リリアン……………?」
血を流しているのは私でなくリリアンだから。
「なぜ庇ったのです………」
ぐったりとしたリリアンを腕の中に抱く。
次から次へと血が流れ出し一向に止まる気配がないところを見ると、結構深いところまでやられたようだ。
「…………私は………お妃様が好きです……」
「……え?」
「お妃様は……私の得たい言葉を……いつも…下さります。唯一お妃様だけは…………私を必要と……して…下さいました……」
力のない表情で、嬉しそうに笑う。
「私は……お妃様のメイドになれて………嬉しかった……で……す」
「止めて……!そんな、何で過去形なの!?…………これからもリリアンは………私のメイドよ!」
「ふふ……っ。私幸せ者ですねぇ……」
ゆっくりと目が閉じていく。
周りの兵士が直ぐ様、その兵士の男を捕らえる。
サニー達は一緒に働いていたリリアンが刺されて瀕死の状態に涙を浮かべ震えていた。
死ぬ前に……………………死ぬ前に私が治さなくては。
「サニー済まない。ここには私とリリアンだけにしてくれない?」
「しかし、直ぐにでもお医者様にお見せになった方がよろしいのでは……?」
「大丈夫。何も言わず私に任せてくれないか?そして、陛下にも他の者にもこの事は秘密にして貰いたいの」
「何でしょう………?」
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数十分後。
リリアンが部屋からタンカで運び出せれて行った。
服にはリリアンの血が付着し、時間の経過した血はどんどん色褪せて黒いものに変わっていく。



