暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】




____コンコンコン。


「失礼致します。お妃様にこれが届いております」


外の兵士がそう言って持ってきたのは正方形のピンク色をした可愛らしい箱だった。



「何かしら……?」


兵士が持っているそれをジッと見つめる。



「陛下からのプレゼントだそうです」 


「陛下から……?」


「はい。宰相からお渡しするよう頼まれました」


陛下からのプレゼントに思わず頭を傾げる。


何故なら陛下であれば、人に頼まなくとも直接渡して下さるか、もしくは手紙付きであったからだ。


今回はただ小包だけと言うのが非常に引っかかる。


だけど兵士がそう言うのならそうなのだろうと私は思い、


「わざわざありがとう。陛下にもお礼を言わなくてわね」

可愛らしい小包をしっかりと受け取った。


「……………どうかしたの?」


しっかりと受け取ったと言うのに、兵士は私の前から中々動こうとしない。


「お妃様。花瓶に入れたこの花ですが咲く時期が過ぎたようで枯れております。以下がなさいましょう?」


「そう………綺麗な花だったのにね。取りあえずその花は取り出し、そこには後日違う花を飾るとしよう」


サニーやリリアン達は、部屋のお掃除に大忙し。


警備は全て兵士に任せている為、安心して皆は掃除に取り掛かっていた。



「それで、私にまだ何かご用かしら?」


「…………お妃様は一体どこから現れたのですか?」


「え?」


「妖か何かでございますか?」


「あの………一体何を………」


よく分からないことを口に出すその兵士。


雰囲気がどんどん悪くなるのを自然に感じた。



「私は忙しいゆえ、持ち場に戻るようお願いしたい」


これ以上関わったら危ない気がすると、本能的にそう告げる。


私がそう言ってもその兵士は聞く耳を持たなかった。