市場を後にしてからの道のりは長く、山に囲まれた道の整備もされていないような一本道をただ無心に歩く。
たまにすれ違う商人の話を休憩がてら聞いてみたり、同じく里帰りをする人と会話をしたりして気分を紛らわせてみるが、似たような景色に途中で退屈さを覚える。
私と会話をしたすれ違う大概の者は、私の目指す道の外れた奥の里まで行かず、真っ直ぐと進んだ国境付近の大きな町へ進む為、どのみち退屈さを感じずにはいられなかった。
「お気をつけて!」
自分の向かう里と大きな町への分かれ道で、私は途中まで一緒に歩いた人々に声をかけた。
この先からは道が細くなり、雑草の伸び切った道なき道をゆく。
初めてこの道を通る者たちが、里は本当にあるのかと疑心暗鬼するほどに道がないのだ。



