暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】





「守るって……………私をですか?」



「他に誰がいるのだ」


いつもなら……と言うより、絶対に言わないであろう言葉に私は驚きを隠せない。


陛下が私を守る?


私が陛下を守るの間違いなんじゃ?


視線を変えて陛下をもう一度見てみたが、


冗談を言っているようにはとても見えない。



「そなたは会ったときからやたら危なかっしい。余の側に居てもらうには余が守らねば、そなたなどあっという間に死んでしまいそうだ」


…………………だから宮殿に入ったと言うに。


客人として入った途端、いきなり危なくなるんだから私の方こそ困ってる!


黒髪。力。


そんなものが無ければ、気にせずに普通の女の子として、普通の生活を送れたというのにね。



なぜ、私が家系で代々生まれてくる黒髪の子なのだろう。


力を持った子なのだろう。


力は言わなきゃバレないが髪色は自分を偽り隠し通さなければ、バレてしまう。


あの判断ミスで結果的に私はここにいるわけだし。