暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】




「………分かりました。では、3日間の休暇を許可いたします。この書類と共に上の方には私から連絡を入れておきましょう」


私が手渡した外出届書と有休許可書に手を伸ばすと、表情を変えることなく速やかに印鑑を押した。


これで外出と休暇の許可はおりた為、気兼ねなく里帰りすることが出来る。













_____次の日。


朝の6時半に宮殿を後にした私は、里で待つ家族へのお土産の為、城下町にある市場へと足を運んだ。


久々に訪れた城下町の市場は早朝だというのにたくさんの人で賑わっており、平和な空気が感じられた。


お使い以外しかあまり使用したことのない私にとって、休暇という日は自由に売っている物を見られるチャンス。

「新鮮な野菜が入ってるよー!」


「この魚はこの地域では珍しいよー!さぁ、どうかねー?」

1つの道を挟むようにして立て並ぶ店々からは、通行人の気を引こうとたくさんの声が飛び交う。


そして、その中で家族が気に入りそうなものを、自分の感性で探し当てていく。

ひと通り目にした私は、良さげだと思ったものを家族へのお土産として購入した。