「念のため手洗いうがいして、マスクも付けててくれる?あっ、俺もマスクつけとくから」



そう言ってマスクを持ってきて、ピッタリ顔を覆っちゃった。



「なにそれ。やな感じ!」



「なんとでも言え」



私の嫌味だって笑顔でかわしちゃうんだ。普段は子供っぽいくせに、肝心なときは大人びたことをするのが悠君。



しかもマスクを着けてしまったことで、壁を作られたような気がして余計に寂しくなった。



マスクなんて窮屈に決まってる。熱のせいでただでさえ息苦しいはずなのに。



「そんなに看病されたくないの?」



「そうじゃないよ、移すのが嫌なの」



「私って信用ない?」



「違うよ。大事なだけ」



そう言われたから、
悠君に向き合って、その手を取った。