「でしょ。でもそれがいつなのか、何時頃なのか、何回点滅するのか、ほんとに赤い光なのか何もわかってないんだ。でもその光が点滅したときに願い事をすると、それが叶うってジンクスがあって。俺、急ぎの夢があるから、それをこの目で見てみたくって」



「なんか都市伝説みたいだね、それにしても急ぎの夢って」



いつものことだけど、悠君の言葉のチョイスは変で笑える。



しばらく目をキラキラさせて語っていたけれど、次第に悠君の声のトーンが変わって、なぜだか歩くスピードも落ちた。



「悠君?」



心配になって見上げると、顔色が普段と違うような気がした。握っている手も、じわじわと熱くなっているような気がする。



「もしかして、具合悪い?」



「なんか、さ、さぶい……」



うんと背伸びして悠君のおでこに触れたら、びっくりするほど熱かった。



「大変だ……悠君帰ろう!」



「なんで?ツリーのてっぺんが見えるとこまですぐなのに」



「子供みたいなこと言わないの!受験控えてんだよ?」



「いきなり現実に連れ戻すなって」



フラフラしてる悠君を支えるように寄り添った。



高台へ続く閑静な道から、クリスマスモードの賑やかな駅の方へ引き返す。



着飾った街ってきれい。
冬の澄んだ空気が、一段とイルミネーションを輝かせてるみたいに見えた。



でも今、それどころじゃない!!