「ねっ、とくに面白いことなんか、なんもなかったでしょ?そんなことよりこれから話すことの方が本題」



話し終えると悠君は私の顔を覗きこんで、子供みたいな無邪気な笑顔を見せた。
すごく楽しそうで、こっちにまで笑顔が伝染する。



「隣の駅に毎年ライトアップされる有名な巨大ツリーがあるでしょ?実はそのツリーには、まだあまり知られてない秘密があるんだって。それを確かめたくて」



悠君は、そんなことを言い出した。



「秘密って?」



ドキドキして、思わず悠君の手を強く握ってしまった。



「みんなツリーって近くまで見に行くでしょ、でもそうじゃなくて、ちょうどこの辺りの、美術館がある高台辺りかなぁ。その辺から少し俯瞰で遠目に見てると、てっぺんに赤い光が点滅する瞬間があるんだって」



「なにそれ……すごいロマンチックだね!」



そういうの大好き!
めちゃくちゃワクワクしてきた!