「どこにでも連れてっていいからね?」



悠君の服を、指先で掴んだ。
もう離れないぞって、不器用な私なりの決意表明。



「そういうのやめろって」



「えー、なにそれひどい!」



「じゃなくて!あんまドキドキさせんなってこと!」



「なっ、なんでよ!そんなつもりじゃ……」



「キスしたくなる」



「バッ、バカ!!」



絶対周りの人に聞こえてる。クスクス笑われてるもん。悠君は声がおっきいんだよ。



「沙羅こっち見て?」



「え?なに?」



見上げると、悠君は真面目な顔で私を見た。



「いい?どこにでも連れてってなんて、そんなこと俺以外の奴には絶対に言うなよ?どこに連れていかれるか何されるかわかんないよ?」



「そんな大袈裟だよ〜」



あまりにも真面目にそんなこと言うから吹き出しちゃったよ。



「いいから約束して」



「はーい」



「ほんとにわかってんの?……なんか不安だわ」



悠君は困ったように笑って、頭を撫でてくれた。