「京ちゃん体調どうなの?もう平気?」



「それどころじゃないよ!今頃会場どんなかな、ってSNS漁ってたの。そしたらさ」



「……そしたら?」



電話越しの声のトーンで、いつも冷静沈着な京ちゃんが興奮してるのが伝わってきた。



「たぶん周りの女の子たちが呟きまくってんの!【山下当麻】【最終日】で検索かけたら関連ワードに【イケメン】【カップル】って出てきて、何気なく見てたら、これ沙羅と佐野君のことじゃん?って!」



「ん?……えぇぇぇ!!」



「呟かれてるどころか、もうサクサクまとめられちゃってるよ!」



「嘘だぁ!」



「しかもなんで?今あんた達一緒じゃないでしょ?カノジョ消えた、とかって佐野君ターゲットで追跡されてるよ?」



「ごめん、またかけ直すから!」



お姉さんに急用ができたことを告げて、あわてて帰り支度をしながら、とにかく情報を漁った。




【今、当麻のグッズ列に並んでるんだけど、同列におそらく彼女に連れられてきたイケメン発見。後ろ姿カッコよすぎなんだけど、顔ブスだったら笑う】




一時間くらい前。
女の子たちの呟きは、そんなところから始まっていた。