悠君はそのまま背中を引き寄せて、コートのなかに私をくるんでしまった。
「うぁ、ちょっ、悠君!」
ぐいっと抱きしめられて、あっけなく悠君の胸のなか!
悠君の身体があったかい。
ずっとここにいたいと思うほどに、居心地がいい。けど、それを越えてくる、このモーレツな恥ずかしさ!
「はっ、離して?大丈夫だから」
そう言うと、悠君はちょっとだけ腕の力を弱めた。
「あっちにショッピングモールがあったでしょ。そこのカフェで温まってくるのと、ずーっとこうしてコアラみたいにくっついてるのと、どっちがいい?」
「……コアラって」
それってなんか、ただの痛い子みたいじゃない?
でもそれ以前に。
「悠君をぼっちにできないよ」
不安になって見上げると、いつもの柔らかい笑顔と目があった。



