「ね、一曲目なんだと思う?」
「え?」
「セトリ予想しよ?」
「当麻君の曲知ってるの?」
悠君は自分のイヤホンのかたっぽを、私の耳に着けた。
「新しいアルバム入れてきたんだ。俺、予習派なんだよね~、ってうわっ!」
悠君はふと触れた私の耳たぶの冷たさに驚いたみたい。
「なんか顔色悪いような……」
悠君の表情がみるみる曇っていく。
「そんなことないよ、気のせいだよ!」
なんて言いつつも、イヤホンから聴こえてくる当麻の声がなぜだか耳に入らない。
「やっぱ冷えちゃったんじゃない?」
両方のほっぺたをおもいっきり両手で挟むとか……公衆の面前で、あり?
冷えるどころか、みるみる顔が熱くなってく。



