「こっちには沙羅がキスして?」
自分の左手を出して
今度は私からのキスを要求してくる。
「えっと、うん」
もうこれくらいで照れたりしない。だって誓いのキスだもん。
悠君の左手を取ったら、不意討ちで唇を奪われた。それはグレープフルーツ味で。
「ごめん、待てなかった」
「うっ、うん」
潤んだ目でみつめられたら、いつも声を失ってしまうのは私の悪い癖。
「ね、朝までずっとキスしてよっか?」
聞いといて返事を待たないのは悠君の悪い癖だよね。
どんどん激しくなっていくキスの途中で、吐息まじりに悠君がつぶやいた。
「やっぱ前言撤回で」
真っ赤な顔してそんなこと言わないでよね。
悠君の指先がいとも簡単に私の素肌を探りあてたから、もう逃げられっこない。
「触りたくなるのは沙羅だけ」
「なっ、何言って……!」
いっぱいいっぱいな悠君の顔に弱い。
もう心臓は、とっくにバグっちゃった。
「ほんとだって。心にも触りたいくらい」
私に拒否権なんかあるわけない。
「……いいよ。沙羅は悠介の、だもん」
「煽んなって。余裕なくなるから」
「いいよ、どんな悠君だって知りたいから」
「……バカ、優しくできなくなる」
ちょっとの時間も惜しい。
窮屈なソファで充分。
ガムシャラなキスをして
もう二度と離れたくないって
悠君の広い背中にしがみついたんだ。